「Podcast アナリティクス」の抱えるジレンマ

Apple は昨年12月に「Podcast Analytics」を開始しました(今日現在まだ「ベータ版」です)。「Podcast Analytics」は、配信された番組やエピソードが「どのように聴かれているか」を、把握しやすくするための視覚化ツールです‥‥と Apple は説明しています。


ポッドキャスト配信者にとっては、自分の番組がどれぐらい聴かれているのか‥‥スマホで聴かれているのか、パソコン派が多いのか‥‥など、リスナーの数や聴取環境は大いに気になるところです。「Podcast Analytics」は、そうしたデータをポッドキャスターに提供し、番組作りに役立ててもらうための機能‥‥だと思うんですが、実は「Podcast Analytics」がカウントしているのは、iOS 11 以降がインストールされている iPhone や iPad、かつ Apple 純正の「Podcast アプリ」で聴かれたデータ、および Mac と Windows の iTunes 12.7 以降で聴取されたデータのみ‥‥のようです。

どんなに多くの人が聴いてくれていたとしても、リスナー側の OS が古かったり、純正以外のアプリを使っていたり、純正であってもヴァージョンが古いとカウントされない‥‥という、この「Podcast Analytics」のデータをいくら分析したところで、残念ながら現状を正確に把握する事はできません。悲しいかな Android リスナーの存在は端から無視ですし(苦笑)

たしかに Apple は、ポッドキャストにおいて中心的役割を果たしてきましたが、すべての番組が Apple のサーヴィスや製品を経由して聴かれているわけではありません。急速に多様化が進むポッドキャスト界において、Apple は今や支流の1つに過ぎず、そこで収集されたデータには偏りがあると言わざるを得ません。正確な数字を掴もうとするならば、川の源流にまでさかのぼり、音声データの置かれているホスティング・サーヴィスで解析するしかないのではないか、と思うんですが如何なもんでしょうか?